■肥料だけじゃない、土を肥やすのは植物は「草」
どんな緑肥よりも、土を肥やす植物があります。それは雑草です。
雑草のはえた下の土は柔らかく、しっとりと水分を含んでいます。
とても発芽しやすく、根の張りやすい、柔らかな土を作ってくれます。
勝手に生えてきて終わりがない雑草は、実は畑をとてもよくこやしてくれるものです。
雑草が程よく生えることで、土に日陰が出来て、湿度が保たれるようになります。
葉の裏は日陰になり、暑さをしのぎ、生き物のちょうどいいすみかになります。
生き物がすむと、代謝をするので、排泄物を出します。この一連の循環が土を肥やしてくれます。
□土を肥やす植物
雑草の根が、土を肥やします。地表に出ている部分と同じ量の根が、土の中に存在します。
土を肥やす植物は、雑草です。
では雑草の根の何が、土を肥やすのでしょうか。
□土を肥やす植物の根の働き
土を肥やす植物の根は、様々な働きをしています。
- 土の中に根を張る
- 土の団粒構造を作る
- 土の水分を適度に保つ
雑草が生えていることによって大雨が降っても土は流れず、
適度な水分を維持した状態で土を保ってくれています。
土の中に主根が生え、そこから側根が分けつし、ひげ根がびっしりと生えていきます。
このひげ根が植物の成長を支えています。
同時に多くの土を包みこんで、団粒構造を形成していきます。
酸素や、根や、団粒構造の土の中に、ミミズなどの多くの生物が住んでいます。
□めちゃ土を肥やしてくれる。植物のひげ根で出来た団粒構造がすごい
野菜が出来て、収穫が終わった後、畑を耕すと、「すごくいい土だなぁ」と感動することがあります。
◇ひげ根の先の毛細根(もうさいこん)
それは、植物のひげ根がガッチリと土をつかみ、酸素を土に入れて、ひげ根の先から出ている毛細根(もうさいこん)が団粒構造(だんりゅうこうぞう)を作っているから。
一度耕したくらいでは崩れない、さらさらだけど、粒にまとまった、「水はけがよく、水持ちの良い土」が出来上がっています。
◇野菜も、雑草も、毛細根(もうさいこん)が土を肥やす
野菜だけでなく雑草の毛細根(もうさいこん)も同じです。
植物をすき込み、耕していくことで、毎年、じっくりといい土に変わっていきます。
■草が生き物を育て、昆虫を呼び、土を肥やす
「草が生えると虫がわく。」とはよく言ったもので、本当にむしがわきます。
幼虫が好む草に卵を産み、3日後には孵化(孵化:卵から幼虫になること)し、11日間幼虫で、指の太さまで脱皮を繰り返します。
そんな幼虫を狙って、大型の昆虫や、鳥が畑に来るようになります。
大きな動物の糞や、大型昆虫の死骸も、微生物の餌となり、土を育てています。
□根にはたくさんの生き物が住み、土を肥やしています。
ミミズがいる土はとてもいい土だと言われますが、特に有機物の多い土に、ミミズはとても多くいます。
酸素が豊富な畑や山のような土には太いミミズが多く見受けられます。
逆に、酸素が少なく、水気の多い土にはイトミミズがとても多くいます。
どちらも、ミミズがいる土は有機質が多く、いい土です。
■草の堆積で、土が自然に肥えていく
□草が枯れて堆積すると微生物が活発に動く
草が枯れて地面の表層に堆積する(枯れ葉が積もること)によって、枯れ葉の裏で微生物が活発に繁殖します。
その1つが、納豆菌で有名な枯草菌(こそうきん)です。
枯草菌(こそうきん)は善玉菌の大群で、2000種類以上も自然に存在しています。
土に枯れ葉が堆積することで、枯草菌が繁殖します。
枯れ葉をめくってみると白くなっているのが枯草菌(こそうきん)です。
枯れ葉をめくった下の土は柔らかく、しっとりと水分を含んでいます。
とても発芽しやすく、根の張りやすい、柔らかな土を作ってくれます。
■堆肥と、雑草とで土を肥やし、いい野菜ができる。
初春に、お礼肥(おれいごえ)として堆肥(たいひ)を入れ、土にたくさんの微生物を繁殖させます。
すると、待ち望んでいたように季節の雑草が「うゎーっ」と勢いよく発芽し、伸びてきます。
春はイネ科の雑草がとても元気がよく生えてきたらすき込み、稲の栄養を土に戻します。
梅雨の季節に初夏のであるアカザ科の草が生えてくるので、アカザの大きな広葉と太い繊維質たっぷりの茎をすき込みます。
冬の野菜が取れるまで、畑では多くの循環が生まれています。