あんたのところの白菜はうまいっ!
いつも、あんたの車が止まっていないかみてから買いに来るんや。
今日が楽しみで、また買いに来るからな!
と直接はたけに「あんたの白菜はうまいから買いたい!」と買いに来てくれるような白菜が、作れます
美味しいハクサイを作るポイント
- ハクサイの旨味を引き出すには日本の軟水は旨味を引き出すことに適している。
- ハクサイの成長段階で、雨、水やりをバランスよく、乾かしすぎないように育てる。
- そのために、根がしっかり多く張れるようにする。
具体的には、根が土をしっかり掴めるように、水はけよく、水没しない畑作りをする。
小手先の肥料やテクニックよりも、基本の土づくりをしっかり行うことで、美味しいハクサイ作りの土台ができます。
ハクサイを出荷している農家が、ハクサイ栽培の「要点を抑えて美味しいハクサイを作る」というポイントを踏まえて、初心者でもできるように解説していきます。
■ハクサイ栽培の特徴
ここが栽培のポイント
- ハクサイの栽培は、植える日にちがポイント
- ハクサイを虫食いにやられないようにするには、周りの雑草をなくすのがポイント
この2つのポイントを守れば、 ちゃんと結球して 虫の被害も少なくできます。
植える日にちや、具体的な流れは次の項目で解説していきます。
■ハクサイの栽培時期
ハクサイの栽培時期は、九州から関東まで、大体同じで、8月から準備を始め、9月に植え付け、12月から2月末まで収穫という流れになります。
□ハクサイの栽培スケジュール(全体像と栽培地域)
step.1 梅雨が終わって、8月の頭には畑をきれいに耕起しておく。
step.2 8月25日から8月30日の間に種まき(私はハウスで育苗します)
step.3 9月15日から9月20日までに植え付け(9月20日までに植え付けすることで、小さくてもハクサイが結球します)
step.4 10月20日までにできるだけ外葉を大きく育てる(外葉を大きくしないと、ちゃんとハクサイができません)
step.5 11月には結球が開始します。(結球が開始したら、もうハクサイの大きさは決まっています)
step.6 12月、収穫できるようになりました。
step.7 1月〜2月末まで畑でとっておいて、順次収穫します。(霜にやられそうな時は、ハクサイを縛ったり、パオパオをかけたりして保護します)
step.8 3月になると、トウ立ちしてくるので食べられなくなってきます。(おいしくない、甘みがない、苦味が出るなど)
トウ立ちしたら、ハクサイの風味の菜の花が食べられます(これがまた美味しい)
step.9 畑から収穫し切る。(ハクサイの病気や、腐りを防ぐことで、連作障害や、翌年の病気を防ぐ)
このような栽培スケジュールです。
□ハクサイのこの栽培方法の地域的特徴
私は愛知県の知多半島で栽培しています。
土は粘土質の田んぼの地域。夏場の気温は38度まで上がり、冬は−2度くらいまで下がります。
栽培地域について
2020年の最近では、九州から関東まで、夏場の気温も同じくらいですし、九州に行った時に話をして、大体同じ栽培時期だと確認できたので、大丈夫です。
これで、大体の地域ならこの方法で栽培できると思います。
では、もっと具体的に、手を動かして出来るレベルまで分かりやすく解説していきます。
■ハクサイの栽培方法
ハクサイの栽培のイメージは、一つ前の項目で、準備する月から、収穫後のハクサイ菜の花が美味しいことまでわかってもらえたと思います。
具体的に分かりやすく手順と作業する月を書いていきます。
□8月、畑を耕して元肥を入れる
畑を耕して、草のない状態まで耕します。
草がなくなるのは、大体3回くらい耕運するとなくなります。
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草がなくなって、植えやすい柔らかな土になったら、元肥を入れます。
9月の15日から9/20までに植えるので、それまでに耕します。
□9月、元肥を入れる
元肥は、14・14・14の化成肥料換算で、300坪に3袋を均等に散布します。
9月20日に植えるとして、1ヶ月前に入れても大丈夫です。
私の場合は、キャベツの植え付けもあり忙しい中ハクサイの植え付けになるので、
8月中に元肥を入れてしまいます。
追肥もすぐに必要になります。
追肥は14・14・14の化成肥料換算で、2袋を2回やります。
ハクサイの栽培で必要な肥料
合計で7袋必要になります。元肥を入れる段階で、用意しておきます。
ココが元肥のポイント
10坪だと、3袋の1/10です。
1袋が20kgですので、10坪あたり6kgになります。
ココが追肥のポイント
追肥は2回に分けて追肥します。
理由は、「肥料切れするから」
1回10坪だと2袋の1/10です。
1袋が20kgなので、10坪あたり4kgです。
白菜は、同時期の小松菜と似たような成長スピードなのに、1株あたりの重さは小松菜50gに対して、白菜は2.5kgにもなります。
毎日大きくなるように、育ててあげるイメージです。
□「美味しさ」白菜の味は、化成肥料をつかうと美味しくないのでは?
肥料について書いていて、一番気になるのは、化成肥料を使うと美味しくないのではないか?という疑問です。
これまで経験した中で、3つの条件に当てはまると美味しく出来ませんでした。
おいしくないハクサイになる3つの条件
- 化成肥料のみに頼り、土のバランスが良くないと、美味しくない。
- 白菜の成長が悪く、玉にならなかったり、生育不良の白菜は美味しくない。
- 過剰に虫に食べられる白菜は美味しくない。
出来る限り農薬や化成肥料に頼りきりにならないようにしつつ、
目標は、「ハクサイが健康に美味しく成長する」ということを目指して作ります。
無農薬、無化学肥料の野菜が「おいしくない、虫だらけでみためも悪い。食べるところがない」
ではいけないと、身近な方々の要望や、有機JASで出荷していたときに経験しました。
有機JAS栽培の中で学んだ土づくりや、美味しい野菜を育てる技術も詰め込んでいきます。
■8月25日、ハクサイの種まき・育苗・品種
ハクサイ種まきの日は8/25にすると、12月から収穫できます。
□ハクサイの品種は、きごころ85
85日で収穫できる、スーパーで売っている見た目のハクサイが作れます。
きごころ85のいいところは
- 作りやすい
- 病気が出にくい
- ちゃんと結球する
- 美味しい
- タネが安い
といったところです。
毎年、このハクサイで作っています。
□種まきはポット栽培よりも、セルトレイでの栽培
128穴のセルトレイでタネをまくことで、苗がとても育てやすく、植えやすくなります。
セルトレイでの種のまきかたは下記記事で詳しく書いています。
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種まき培土や、水やりなどがかなり省力化できます。
■9月19日、ハクサイの土作りと畝の作り方
9月19日、前日に畝を作ります。(前々日でもOK)
前日にハクサイの畝を作る理由
- ハクサイを植える前に草が生えない
- 直前に畝を作ると、畝の中の水分が多く、ハクサイの根が伸びやすい
草に勝ちやすく、ハクサイが成長しやすい畝を作るタイミングが、植える直近です。
前日に畝を作るために、
梅雨明けから、他の野菜と植え付けの準備と同じように、草をなくす、耕運しておきます。
あらかじめ半年前に牛糞堆肥を入れておくと、味がよく、病気などのトラブルにも強いハクサイの土作りができます。
草をなくす耕し方は下記の記事
堆肥の入れ方は下記の記事に詳しく書いてあります。
この方法で、いいハクサイを作るための耕し方がわかります。
□元肥を入れる
元肥は、14・14・14の化成肥料換算で、300坪に3袋を均等に散布します。
追肥もすぐに必要になります。
追肥は14・14・14の化成肥料換算で、2袋を2回やります。
合計で7袋必要になります。
元肥のポイント
10坪だと、3袋の1/10です。
1袋が20kgですので、10坪あたり6kgになります。
元肥をまいたら、畝を立てます。
□9月19日、畝を立てる
この畝に、2条植えています。
□ハクサイ栽培の株間、間隔は35cm
ハクサイ栽培の株間は、35cmで植えています。
もちろん多少の誤差はありますので、1、2cmの誤差はあまり気にしなくてOK。
ココがポイント
株間が30cmならばミニハクサイ、35cmならば大きいハクサイができます。
8玉サイズ=スーパーで売っているサイズです。
つまり、35cmで植え付けると、イメージ通りのハクサイができます。
■9月20日、ハクサイの植え付け
植え付ける場合、株間は35センチ、条間は40センチで2条で植えます。
35センチで植えることで、失敗してもミニハクサイになるので安心です。
- 株間が35センチで植える
- もし、失敗しても、ミニハクサイはできる
苗の育てる期間は14日から30日ほど予定します。
基準は30日です。
はやく出来れば早く植えても大丈夫です。
植えれる苗はこのような、根がしっかり張った状態を目指します。
□翌日に活着(かっちゃく)させて、いいハクサイを作る方法
根がしっかり張った状態の苗であれば、植えてから翌日には土に活着(かっちゃく:苗の根が植えた土に伸び始めて、成長をはじめること)します。
◇最短の1日後に活着(かっちゃく)させる方法と、確認方法
活着(かっちゃく)はとても大切で、いいハクサイを育てるためには出来るだけはやく活着させます。
根は、ハクサイが育つための原点です。
ココがポイント
活着させるために、
植え穴に水をやるか、植えてからたっぷりと5センチくらいしみこむくらいの水をやります。
これで、翌日には活着していると思います。
活着を確認する方法
活着を確認する方法
- ①葉の色が濃くなっている。
- ②植えた後、新しい葉が大きくなっている。
これで一安心です。
ハクサイはキャベツに比べて根が細いので、萎れやすいです。
根の張りにどのような液肥を使ったり、失敗したかはツイッターで載せています。
今年使った液肥はこんな感じ。
https://twitter.com/nobuyasai2/status/1306683877809770496?s=20
■植えたハクサイに、防虫ネットを掛ける
植えてから、防虫ネットをかけると、蝶や蛾が飛んできて卵を産むことを防げます。
ハクサイの虫でやられる割合(体感)
- 蝶や蛾の卵から孵化しての虫害 40%
- ネキリムシ、コオロギ、バッタなどの食害60%
といった感じです。
防虫ネットで防げるのは、
- 蝶や蛾の産卵
- コオロギやバッタの侵入
ネキリムシの食害は防げないのですが、他は防げます。
■9月28日 ハクサイの追肥(2回必要です)
追肥もすぐに必要になります。
後3日、4日で追肥します。
□1回目の追肥のタイミング
ここまでハクサイが大きくなるのが植えてから7日目です。
追肥の1回目をやります。
ハクサイは葉が肥料焼けしやすいので、葉に当たらないように肥料をあげるのがポイント。
私はちょっと高いけど、肥料焼けしにくい肥料であげています。
葉に当たらないように肥料あげるのって結構難しいですからね。
追肥は14・14・14の化成肥料換算で、2袋をやります。(300坪の場合)
1回目の追肥のポイント
1回目の追肥は、畝の真ん中にします。
10坪あたり4kg(肥料の成分は化成肥料換算で14・14・14)
1袋が20kgなので、10坪だと2袋の1/10
です。
追肥のやりかたはこんな感じ。(動画は2回目の追肥)
散布するのにまくぞーくんを使っています。
肥料用の肩掛けバケツもとっても便利で、10坪くらいの栽培にはオススメです。
■ハクサイの土寄せ(1回目の追肥と同じタイミング)
大きなかまぼこの畝が、1本ずつの畝のようになります。
■ハクサイの1回目と、2回目の追肥の間に、草取りのタイミング。
けずっ太郎という除草器具を使っています。
□「迷う」ハクサイが小さくて、追肥しようか迷う
ハクサイが小さい場合、私は追肥して追いつくようにします。
◇いいハクサイを育てるのになぜ追肥が大切?
ハクサイの大きさを決めるのが外葉の大きさ。
外葉の成長は、植え付けてから1ヶ月間しかありません。
毎日大きくなるように、葉の大きさや、なんとなく色が薄くなったら追肥するくらいのイメージで追肥すると、健康で、順調に育ちます。
□10月8日、2回目の2回目の追肥
2回目の追肥をやります。
畝から溢れる前のときに、2回目の追肥をします。
2回目の追肥のポイント
外葉をより大きくするための追肥です。
理由は、「ハクサイの結球までに肥料切れするから」
10坪あたり4kg(肥料の成分は化成肥料換算で14・14・14)
1袋が20kgなので、10坪だと2袋の1/10
小玉ハクサイを作るときも、2回目の追肥はします。
日にちは10月の10日を目安にします。
10/20から結球してくるので、外葉がそこまでに大きくなっていないと、ちゃんとハクサイが玉にならないからです。
なんか小さいなと思う場合は、10月5日に追肥して、早めに大きくします。
2回目の追肥をして、2日後、しっかり大きくなりました。
◇ミニハクサイ、小玉ハクサイを作るときの考え方
基本的な育てかたはこの記事と同じです。
は、
ミニハクサイを作る時
- ミニハクサイ用の品種のタネをまく
- 株間を30センチにする
この2つを変えるだけで、ミニハクサイになります。
ミニハクサイでも、外葉は大きく作らないと結球しないので、追肥は気をつけて行って欲しいです。
■10月末、ハクサイが結球結球し始める(アブラムシに注意)
10月後半から、結球がはじまってきます。
約1ヶ月かけて結球していきます。
結球が始まる前に追肥の2回目を終わらせておきます。
ここからが一番ハクサイが失敗しやすい、アブラムシのピークになります。
アブラムシに注意して、あと1ヶ月結球をのりきって美味しいハクサイを収穫しましょう。
■12月 ハクサイの収穫
11月後半、待ちきれずに味見で収穫します。
ハクサイの頭を押してみるとまだフワフワ。
それでも今年初のハクサイは充分美味しそう。
根元に手を入れ、外葉を押しのけて太い軸を包丁を入れてザックリ切ります。
ハクサイの旨味であるアミノ酸(なかでもグルタミン酸)が多い美味しそうな白い部分です。
□ハクサイの保存方法
収穫後のハクサイは切り口が特に傷みやすくて、黒く酸化、変色します。
一枚ずつ外から向いて使うと黒い変色がなく、切り口も出来ないので使いやすい。
畑でハクサイを保存するために、パオパオをかけて畑で2月末まで保存できます。
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■ハクサイを育てるときのトラブル・生育不良
ハクサイを家庭菜園で育てるときのトラブル、生育不良は2種類あります。
苗を植えるときの活着不良
植えた後の水没です。
□苗を植えるときの活着不良を防ぐ方法
苗を植えるとき、土の質によってみずやりの方法を変えています。
◇土がゴロゴロのとき
どうしても土がゴロゴロで、うまくいくかわからない。そんな時があると思います。
ゴロゴロ土のときは、活着するまで水を与え続けます。
水没しないように、溝はしっかりほっておきます。
目安となる期間は1週間くらい水を与えられるように準備しておきます。
実際に農家の現場ではありえることで、雨が多い年や、干ばつの年などはどうしても土の作りが悪く、ゴロゴロ土で植えなければいけない時があります。
◇サラサラの土になりすぎた時
特に粘土質の畑の場合ですが、サラサラの土になりすぎた場合、水没の危険があります。
水没すると生育がとまるので、水がたまらないようにします。
9/20までに植えて、雨が降るたびに寒くなっていきます。畑の乾きもわるくなっていきますので、
水没を予想して溝を作っておきます。
■発生しやすい病害虫
ハクサイは葉が柔らかく、水分も多く折れやすいので、病気にやられやすく、
ちょっと水はけが悪いという理由で10株くらい連続で枯れたりすることもあります。
また、虫にもやられやすいことはよく聞くと思います。
ちょっと対処方法を知っているだけで、ちゃんと立派なハクサイを育てられますので、知識として持っておくといいと思います。
□台風や強風で発生する軟腐病(なんぷ病)
ハクサイで発生しやすい病気は、軟腐病(なんぷ病)です。
特に、10月から結球が始まるときに向けて
「出来てきたなー!」と思ったときに急に腐り始めます。
冬に向けての強風や、台風で葉が傷ついたりした場合は特に多く出る感じです。
植えたハクサイのうち、1/3腐ってしまうこともあります。
そのようなときに使う農薬は、バリダシンです。
台風で被害にあった場合は、これで助かるハクサイも多いです。
こればかりは、食べるハクサイがなくなってしまうので、知識としても持っておいたほうがいいと思います。
2/3生き残ればいいや!と思う方は使わなくてもいいと思います。
□収穫まで悩まされるヨトウムシとアブラムシ
害虫については、収穫まで悩まされるのがヨトウムシとアブラムシです。
ヨトウムシは寒くてもかなり動きますし、結球しても芯まで深く潜っていきます。
アブラムシは、結球する11月からアブラムシの季節というくらい発生のピークになります。
3日くらいで倍々に増えていきますので、1週間くらい放置してしまうと食べられなくなるくらいの被害になるので、注意してください。
■病気
■害虫