土寄せをすることで
- 肥料を(土寄せなしと比べて)効かせることができる
- 発根を促進できる
- 野菜の重量をあげることができる
- 青首を防いで、見た目の良い野菜が増える
- 倒伏を防いで、病気を予防することができる
など、「追肥」+「土寄せ」で、野菜の収穫量を上げることができます。
キャベツの土寄せをするだけで、
こんな方におすすめ
- キャベツを大きくしたい。
- なかなか、キャベツが大きくならない気がする
- 早く大きくしたい。
これらの3つの効果があります。
動画でも、わかりやすく解説していますので、
時間がない方は動画だけ見るのもいいと思います。
■土寄せの目的(効果)
土寄せの目的として1番期待する効果は、作物の品質をあげることです。
その他にも
- 作物の品質をあげる
- 台風での倒伏防止
- 湿害の回避
- 肥料の吸収促進
など、土寄せをすることで、様々な作物に良い効果を期待できます。
逆に、土寄せをしなくても問題なく育つ作物もわかりました。
私はニンジン、玉ねぎ、キャベツ、白菜、ブロッコリーを生産していますが、
それぞれ土寄せの目的や方法が違い、やらなくても変わらないものもあります。
そう言った細かい部分が知りたいと思うので順に解説していきます。
■土寄せの目的に沿ったやり方
この作物にはこの土寄せというように説明していきます。
土寄せのやり方は方法論だけでは分かりにくいものです。
□土寄せで肥料の吸収を上げる目的のやり方
キャベツ、白菜、ブロッコリー、白カリフラワー、オレンジカリフラワー、レタスにこの方法を使っています。
土寄せ時の肥料散布(肥料の吸収を上げる場合)
畝間(うねま、作物と作物の植わっているウネの間の通路のこと)に肥料をザーツと散布し、土寄せをします。
土寄せの目的(肥料の吸収を上げる場合)
肥料の吸収をよくすることですので、追肥と土寄せがセットです。
土寄せの深さ(肥料の吸収を上げる場合)
1cmから5cm程度。
畝間の土を削る感じです。
削った土を横に寄せるだけ。
土寄せの道具(肥料の吸収を上げる場合)
くわや三角ホーで大丈夫です。
□土寄せで、水はけをよくする目的のやり方
ニンジン、大根の根菜類にこの方法を使っています。
土寄せ時の肥料散布(水はけを良くする場合)
肥料は畝の上にザーッと散布します。
土寄せの目的(水はけを良くする場合)
排水の効果を向上させるためです。
根菜類は、土寄せをすることで根の長さを伸ばすことが出来ます。
土寄せの深さ(水はけを良くする場合)
1cmから5cm程度。
畝間の土を削る感じです。
削った土を畝の上に乗せていきます。
根菜類の土寄せはけっこう重労働です。
土寄せの道具(水はけを良くする場合)
くわや三角ホーで大丈夫です。
くわも2種類あって、
幅広のくわ
幅狭のくわ
があります。
それぞれ特徴があり
幅広のくわ 土を多く動かせる 土が多く、重い 浅く掘れる
幅狭のくわ 土を少なく動かせる 土が少なく、軽い 深く掘れる
という特徴があります。
この特徴はやってみないとわからないよね。
□土寄せの目的を達成するために農家の使っている道具と方法
私は常に幅狭のくわを使っています。
その理由は、重いと長い間作業できないからです。
溝を掘ったり、土寄せする場合は1時間以上作業することも多く、
コツコツと疲れないようにやるために幅狭のくわを選んでいます。
□土寄せの目的を達成するのに、管理機を使った効率のいいやり方
キャベツニンジン、大根の根菜類にこの方法を使っています。
根菜類の場合は、畝のよこに土をどけるよりも
畝間の土を畝の上にはねあげるのが土寄せのやり方になります。
畝間の土をはねあげることによって、根菜類にいい土寄せ効果がでます。
管理機とは
管理機とは土寄せ専用の耕運機のことです。タイヤや、土寄せの爪が土寄せに的した幅、形状、性能になっています。
ココがおすすめ
家庭菜園では、耕運機(土を耕す)を管理機(土寄せ)っぽくカスタマイズして使います。カスタマイズできるものを購入する事がポイントです。
根菜類にいい土寄せの目的とは(管理機を使う場合)
- 畝間の土を跳ね上げる
- 水捌けが良くなる
- 根が伸びやすく、長くなりやすくなる
- 青首を予防できる
といったことです。
土寄せ時の肥料散布(管理機を使う場合)
肥料は畝の上にザーッと散布します。
土寄せ前がオススメですが、
土寄せ後でも大丈夫です。
土寄せ前がオススメの理由は
- 肥料をやる
- 土寄せをする
の順で行うと、
肥料が土になじみやすく、
野菜に吸収されやすいからです。
土寄せの目的(管理機を使う場合)
排水の効果を向上させるためです。
根菜類は、土寄せをすることで根の長さを伸ばすことが出来ます。
私がニンジンを作っている畑は粘土質で、周りで専業でニンジン栽培をしている農家は0です。
それほど作りにくい粘土質ですが、畝の高さを30cmで作ることによってニンジンも栽培できます。
「深さを目的とした」土寄せの深さ(管理機を使う場合)
1cmから5cm程度。
畝間の土を削る感じです。
削った土を畝の上に乗せていきます。
根菜類の土寄せはけっこう重労働です。
ですので、耕運機(管理機)を使って土寄せをするのがオススメです。
土寄せの道具(管理機で目的の土寄せを行う場合)
土寄せ用の耕運爪が付け替えできる耕運機
ここでいう土寄せができる耕運爪とは、ハネロータリーのことです。
ハネロータリーが付け替えできる耕運機でないと、根菜類の土を跳ね上げる土寄せはできません。
ハネロータリーであれば、粘土土でも、跳ね上げる土寄せが可能です。
以前私が購入したハネロータリーは、培土板(ばいどばん)付きの粘土土用のハネロータリーで30000円で購入した覚えがあります。
ハネロータリーで土を跳ね上げ、培土板(ばいどばん)で耕運機が通った後の通路をきれいに整形する。という流れです。
■野菜別の土寄せの目的(効果)
野菜の土寄せの目的は、
1、除草の目的
2、野菜の生育を順調にするため
の効果があります。
□1、除草の目的の土寄せのポイント
ここでいう除草は
生えた草を土寄せで除去する ❌ではなく
生える前に土を耕して、発芽を抑制する⭕️ということです。
除草の目的で土寄せをする場合、「草が生えていないくらい〜草の双葉が出てきたくらいで土寄せ」をすることがポイントです。
草が生えそろってから土寄せをして、「草を一掃させよう!」と思ってしまうのですが、
はっきりいってプロ農家でもその手は使いません。
なぜなら、草が生えてから除草する事がとても時間がかかり、できないからです。
伸びた草は土寄せをしても、8割くらい復活します。
ココに注意
プロ農家は草が生える前に土寄せをします。
□2、野菜の生育を順調にするための土寄せのポイント
土寄せをする事で、台風や湿害のダメージを予防します。
野菜は強風や湿害によるダメージで、簡単に生育が1ヶ月以上遅れてしまいます。
遅れるだけならばいいのですが、ちゃんとケアしないとまともに収穫できません。
そこで、野菜別に土寄せ+追肥をする事で、生育を順調にします。
□キャベツの土寄せの目的(効果)
キャベツの土寄せの目的は、肥料を計画通りの100%きかせることです。
キャベツは1回必ず追肥をします。その前後で土寄せをすることで、肥料を計画通りにきかせることができます。
□キャベツに土寄せをした場合の肥料の利き方
とても品質がよく、サイズも適度なキャベツができます。
30坪あたりに前面散布する方法です。
元肥14・14・14の化成肥料を6kgです。
追肥14・14・14の化成肥料を4kgです。
追肥2回目14・14・14の化成肥料を4kgです。
合計14・14・14の化成肥料を14kgです。
30cmの株間でキャベツを植えた場合、8玉サイズ〜6玉サイズのキャベツができます。
□キャベツに土寄せをしなかった場合の肥料の利き方
キャベツの太りが悪く、サイズも小さく、見栄えのいいものはほとんどできません。
運よくできる場合もありますが、翌年ダメだったりして、安定していいキャベツを作ることができません。
30坪あたりに前面散布する方法です。
元肥14・14・14の化成肥料を6kgです。
追肥14・14・14の化成肥料を4kgです。(効き目は2kg以下です)
追肥2回目14・14・14の化成肥料を4kgです。(効き目は2kg以下です)
合計14・14・14の化成肥料を14kgです。(効き目は10kg以下です)
30cmの株間でキャベツを植えた場合、10玉サイズ〜9玉サイズのキャベツができます。時々、8玉サイズができます。
□じゃがいもの土寄せの目的(効果)
じゃがいもの土寄せの目的は、じゃがいもの緑化を防ぐ目的です。
じゃがいもは土の中深くよりも、土の表層近くに半数以上ができます。
土寄せをする事で、土の表層近くのじゃがいもの緑化を防ぐ事ができて
品質の良いじゃがいもを作る事ができます。
□ニンジンの土寄せの目的(効果)
ニンジンの土寄せの目的は、2つあります。
排水効果で、長いニンジンを作る事。
土をかぶせる事で、ニンジンの緑化を防ぐ事
です。
ニンジンを作るときによくある失敗が
排水が悪く、ニンジンがオレンジ色じゃなく、白っぽい。
ニンジンが腐っている
ニンジンの肩が緑色や、赤色になっている
という事です。
これは土寄せ不足で起こっています。
□白菜の土寄せの目的(効果)
白菜の土寄せの目的は、2つあります。
1つは上記でキャベツに書いたことと同じ、肥料を100%効かせること
2つ目は、台風などで根痛みを防ぐことです。
白菜は、キャベツに比べて根が弱いため、強風で葉をあおられると、根が痛み、
成長が止まってしまったりします。
葉が育つと、土寄せをすることで株元を土でガードし、強風でもあおられにくくすることで、根痛みを防ぎ、順調に育てる事ができます。
□ブロッコリーの土寄せの目的(効果)
ブロッコリーの土寄せは、肥料の効きを100%にする事です。
上記にキャベツに書いたことと同じ内容ですが、
ブロッコリーは一番なんとか作りやすいです。
脇芽も結構取れて楽しいですし、家庭菜園ではブロッコリーは作りやすくオススメです。
■土寄せをしない選択もありです。(とはいえ、土寄せすると重量は目的どおり増えます)
□土寄せをすることは、正直大変です。
土寄せができない場合は、肥料を多く入れておくことです、
土寄せは大変。
しかし、はっきり効果が出るかといえば、見た目ではわかりにくいものです。
土寄せをするかしないかで野菜の出来は確実に変わってきます。
しないとあまりできない事が多く、
農家の私としては「できないことはありえない」ので、土寄せは必ずします。
しかし、できない場合もあるんですよね。
そんなときどんな結果になるかというと、やっぱりうまくできません。
では、できない場合が予測される場合にどうするか
そんな時は、肥料を多く入れておくことです。
そうすれば、ちゃんとできました。
□キャベツに土寄せできないと予測される場合の肥料入れ方(土寄せしないで重量を増やす目的)
肥料を多く入れることです。
30坪あたりに前面散布する方法です。
元肥14・14・14の化成肥料を12kgです。(通常6kgです。)
追肥14・14・14の化成肥料を8kgです。(通常4kgです。)
追肥2回目14・14・14の化成肥料を4kgです。(通常4kgです。)
合計14・14・14の化成肥料を24kgです。(効き目は12kg以下です)
30cmの株間でキャベツを植えた場合、8玉サイズのキャベツができます。時々、9玉サイズ〜6玉サイズができます。
キャベツの全体像は、「キャベツの栽培方法完全ガイド」で、全体像を見渡せるようにかいています。
土寄せ前、土寄せ後の栽培も、よくわかると思います。
ポイント
キャベツ栽培を成功させるサイトマップ
知りたい内容を探さなくていいように、栽培の流れでまとめています。
キャベツ栽培関連の購入方法
🥬キャベツ栽培の全体像
プランター栽培
🥬栽培の全体の流れ
🥬キャベツ栽培の土づくり(5月)
連作障害
堆肥の使い方
🥬キャベツの土づくり
🥬キャベツ栽培の種、苗、肥料、液肥、農薬の準備(6月)
種、品種の選び方、育ち方
ちゃんと育つ肥料
苗の選び方
農薬の選び方
🥬キャベツ栽培の苗づくり(7月)
🥬キャベツ栽培の苗植え(8月)
肥料のまき方(元肥)
畝の立て方
苗の植え方
🥬キャベツ栽培の追肥、肥料切れ、雑草、病気、害虫、液肥、農薬(8月〜11月)
キャベツの収穫(結球)までの流れ
草取りの方法
追肥の量とタイミング
肥料切れしても回復させたい時
土寄せ
キャベツの病気(予防→治療)
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