
キャベツの苗を育てることを育苗(いくびょう)と言います。
良いキャベツ苗を育てるポイント
- キャベツの葉がコンパクトな苗を育てる
- キャベツの苗の根がしっかりと出ている
この2点です。
コンパクトで根がしっかりした苗を作るために、水やりと液肥で健康的に育苗することが大切です。

■【動画】キャベツ苗の種まきの水やり(種から育てる)
種まきは、最初のタネの温度が大切です。
タネの温度をあげすぎると発芽不良になります。
タネをまくときに、土をしっかり水分を含ませます。
泥にしてしまうようなイメージです。
土を泥にするように水を染み込ませる効果
- タネの温度上昇が防げる
- タネの発芽までの水分が確保出来る
発芽するまで水をやらないので、地温が変化しない
発芽が揃う。
過剰な乾燥や、過剰な温度変化がないので、発芽が揃うというわけです。
ということで、
発芽するまで基本的に水やりをしません。
□「水やりが肝心」キャベツ苗を作る種まきを写真で解説します。(タキイ培土)

キャベツの種まきのために、タキイの種まき培土を用意します。

タキイの種まき培土をバケツに入れます。土はパサパサです。

タキイの種まき培土をベチョベチョになるまで水を入れて混ぜます。

タキイの種まき培土を絞ると水がたくさん出るくらいです。

セルトレイに水を含ませた種まき培土をたっぷり載せて、拡げます。

セルトレイをトントン揺さぶります。隙間があれば土を追加します。

人差し指と中指で爪の深さだけタネを入れる穴を開けていきます。

キャベツのタネを指で開けた穴にまきました。

さらに土を載せて、穴に土を入れ込みます。土は、先ほどのベタベタのタキイの種まき培土です。

載せた土を、ねじり鎌を使って拡げていくと簡単です。
余分な土は、ねじり鎌を使ってとってしまいます。

これで種まきが完了です。冷暗所で1日置いて、日に当てないで発芽を促します。
□キャベツ苗のトレイの種まきがおわったら、水やりをせず冷暗所で1日。
キャベツなどのアブラナ科のタネは、種まきしてから1日から2日程度で発芽しはじめます。
最初の一日は、20度程度の日の当たらない場所に置いておくととても発芽が揃います。
翌日から発芽のためにキャベツのタネが動き始めるので、揃いを良くするために冷暗所で寝かせましょう。
冷暗所の場所のイメージ
- 昔の家の土間のようなところ
- 20度程度の冷蔵庫
- クーラーの効いた涼しい部屋
などです。
◇キャベツ苗の発芽は水やりゼロ(種まき後から発芽まで)
これで、キャベツが発芽するまでの準備は整いました。
あとは、セルトレイを苗場に並べます。

キャベツのトレイを並べる場所は、浮かせます。地面に直接つけません。

キャベツ苗のトレイを並べました。冷暗所で1日寝かせた後です。水はやりません。

土が落ち着いています。

タネを見てみると、少しひび割れています。

ちょっと発芽しています。これが冷暗所の効果。

40%の遮光シートをかけて、待ちます。
並べたら、40%の遮光シートをかけて、発芽まで水をかけずに待ちます。
確認するタイミングは、半日おきに確認します。
ココに注意
一日置きの確認だと、発芽のタイミングを逃して、徒長してしまいます。
徒長は病気に弱い苗になるので、防ぎたいところです。
土がモコモコと盛り上がり、
発芽してきました。

翌日の朝、少し発芽が始まりました。
土が膨らんでいるのがわかります。
ここまで出たら、シートをはがします。

1つでもこのように芽が出たら、シートを外します。
□キャベツ苗のトレイの表面が乾いてしまったら水をやります。
もし暑すぎたり、直射日光が当たる場所だったり、風が強く吹いていて
苗のトレイの表面がかわいてしまったら、表面が湿るように水やりをします。
□キャベツの苗の水やり(高温で煮えないようにする)
キャベツ苗の水やりの基本は、枯れるほど乾燥しないようにする
ということを基本に置きます。
キャベツ苗の失敗の理由の2つ
- 過剰な乾燥でカリカリになってしまって、枯れる。
- 高温のときに根が煮えてしまって、枯れる。
この2点です。
過剰に乾かないようにするには、水やりを忘れなければ大丈夫だけど、 煮えないようにって、どうすればいいの?
煮えるという感覚がとても難しいのです。
キャベツ苗が煮えてしまった!と言うことについて、次の項目から解説していきます。
◇「原因解明」キャベツ苗に水やりを毎日乾かないようにやってるのに、元気がなくなって枯れてしまった。
キャベツ苗に水は毎日しっかりやっているのに、元気がなくなって枯れてしまった。
ここがとてもわかりにくくて難しいのです。
ココがダメ
原因は、「水のやり過ぎで根が煮えて腐ったから枯れた。」ということになります。
■キャベツ苗が発芽したら、水やりは様子をみて(写真で解説)
キャベツが発芽したら、すぐに水をかけなければいけないわけではありません。
キャベツの発芽の時の温度によって、全然乾き方が違います。
今回はキャベツの苗が発芽してから8日目までずっと曇りか雨で、セルトレイの土は全然乾きません。
だから、8日間、水は一切かけませんでした。(土が乾かなかったから)
裏側を見ても、乾いていません。

キャベツの苗の底を見ても乾いていない。乾いていなければ水はやらない。
ココに注意
土が湿っているのに、水をかければ、苗の根が溺れて腐ってしまいます。
基本的に、苗の土は1日の終わりには乾いている状態にします。
□30日分、キャベツ苗の水やりを写真で解説。

2日目、発芽。シートを取ります。3日目に発芽の時もよくあります。

3日目、キャベツの発芽はしっかりと揃っています。

4日目、キャベツの苗は、双葉がひとまわり大きくなりました。

5日目、キャベツの苗はあまり変わっていないように見えます。ずっと表面は乾いていないので、水はやっていません。

キャベツの苗の底を見ても乾いていない。乾いていなければ水はやらない。

6日目、あまり変わっていないように見えます。水はやっていません。

7日目、双葉が離れました。本葉が出てきます。

7日目で、根はこれだけ伸びています。曇りで生育が遅いですね。まだ水はやっていません。

8日目、本葉1枚目が出てきました。

9日目、ようやく晴れて梅雨明けしました、乾いたので水をやります。水やりは今年初です。今までに経験はありません。

9日目の本葉1枚目。しっかりと見えます。

9日目の根。しっかり出始めました。1日1日根が増えるように育てていきます。

10日目、全体的にひとまわり大きくなりました。暑くて、8時でも38度あります。乾いています。

10日目、2時に見にいくと、ぐったりしているキャベツ苗。暑すぎて、水のかけむらの部分がカラカラに乾いています。葉水をやります。

10日目の水のかけむらで、根がこんなに乾いてしまっている。午後2時。

11日目、さらにひとまわりキャベツ苗が大きくなりました。葉水で復活しています。

11日目、さらに根が増えています。この調子でどんどん根を増やし、太くしていきます。

12日目、本葉2枚目が見え始めました。

12日目、本葉2枚目が見え始めました。葉は全体的に小さく、良い感じです。

13日目、本葉2枚目が若干大きくなっています。

13日目、根はだいぶ多くなってきました。

14日目、本葉2枚目がまた若干大きくなっています。

14日目、根は本葉3枚目の根が出てきているはず。

15日目、本葉3枚目が出てきました。

15日目、本葉3枚目が出てきました。本葉2枚目の時とサイズはあまり変わっていません、それが良いところです。

後5日で、最低限植えれるように目指します。首が短く、根が多く。を目指しています。

16日目キャベツ苗の水やり。窒素(N)が入った液肥を加えて、水やりしていきます。窒素を与えると根がしっかり出てきます。

17日目キャベツ苗の水やり。昨日と同じ窒素(N)が入った液肥を加えて、水やりしていきます。

18日目キャベツ苗の水やり。窒素(N)が入った液肥を加えて、水やりしていきます。根が巻いてきています。

19日目キャベツ苗の水やり。窒素(N)が入った液肥を加えて、水やりしていきます。根の巻きが増えてきています。

20日目キャベツ苗の水やり。窒素(N)が入った液肥を加えて、水やりしていきます。根の底の方まで、グルグルしてきています。

21日目キャベツ苗の水やり。窒素(N)が入った液肥を加えて、水やりしていきます。ちょっと水が少なくて、ぐるぐる根が巻いた底の方が、茶色くなりました。茶色くなったのは、水が切れて、根が乾きすぎてしまった感じです。茶色くならないように水を上げていきます。
実際のところ、ここくらいまで根が巻くと、キャベツ苗の植え付けができるタイミングになってきます。
あとは、30日まで
- 窒素の液肥をやりつつ、
- 水を切らさず、
- 水をやりすぎず
やっていきます。

16日目のキャベツ苗を育てている時。30日間でどのタイミングでも、水をやりすぎると徒長しやすい。根が少ない時は特に注意します。雨の日や曇りの日は1日2回、3回みると良いですよ。

キャベツ苗が若干徒長しています。でも、茎が赤いと倒れにくい。水やりのコツです。

30日目の理想のキャベツ苗。根がしっかりぐるぐるに巻いて、葉も大きすぎず、植えやすい

30日目の理想のキャベツ苗。苗の葉の縁が赤くなっています。こういう苗は、台風に強い

30日目の理想のキャベツ苗。横から見てみるとこんな感じ茎も赤くなっています。良い感じ。

30日目の理想のキャベツ苗。横からの拡大図。上手に水やりするとこうなります。

30日目でキャベツ苗が育ったら水やりをしっかりして植えましょう
■キャベツ苗の植え付け(苗の植え方)水やりは植え穴に。
キャベツの苗ができたら、植え付けます。
植え付けは簡単です。
良いキャベツ苗ができれば、植え付けは簡単です。
- 苗にしっかり水を含ませて
- 植え穴にも水を含ませて、
- 密着させて植え付けます。
□キャベツの 苗を植え付ける深さに注意しましょう。水やりゼロを目指す
キャベツの苗を植え付ける深さは、根鉢(ねばち:苗の根が巻いてる土のこと)が土に隠れる程度です。
根鉢(ねばち)の色が見えないくらい被せると、翌日以降に水をやらなくてもしっかりと活着してくれます。
キャベツの全体像は、「キャベツの栽培方法完全ガイド」で、全体像を見渡せるようにかいています。
全体像をわかった上でみると、育て方がよくわかると思いますし、種まきの日にちも決めやすくなります。
キャベツ栽培の知識を知らずに作ると、「キャベツ栽培が難しい 何も知らんかった」と思うんですが、学びも多いです。
難しいと思った方はきっと共感できるし、同じ学びをシェアできたらなと思って書きました。