自宅でイチゴ狩りがしたいのですが何かいい方法はありますか?(できれば12月から5月までずっと食べたいです!)
こんなご質問をいただきました。
自宅でイチゴ狩り・・
こんな夢のようなことやってみたいですよね!!
そこで農家の僕が、イチゴ狩り農家(それも日本有数の方)にコツを教わって、イチゴ栽培に取り組んだ結果・・・
何と! たったの8株で100個以上食べ放題となりました!!
なぜこのようなことが可能になったのでしょうか。
それは・・・
「ビニールハウス」を使ったからなんです。
しかも、ビニールハウスで育てることで、11月頃から5月頃までイチゴを収穫することができるのです。
この記事を書いている人
・農大レベルでしっかり育てられる現役農家の解説動画
・栽培の流れが月単位でわかります。
・コメントで質問ができるので、今より上手になる(youtube)
- 農業経験0から14年以上やっている農家(愛知県の知多半島)
- 耕作する畑の土は9割が硬い粘土の土地で、雑草地からのスタート(農業初心者から、野菜を解説する側になりました)
- 年間100トンほど野菜を生産、出荷しています。
- このサイトの内容を実践し、反収50万を超える畑も出ています
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たった1坪のビニールハウスでイチゴが100個作れる2つの理由
僕はたった1坪のビニールハウスで、毎年100個以上のイチゴを作っていますが、
なぜそのようなことが可能なのかを早速ご紹介します。
その理由とは
- ビニールハウス内はイチゴ栽培に最適な温度
- ビニールハウス内で水と液肥を「自動供給」
という2点になります。
1つずつ見ていきましょう。
ビニールハウス内はイチゴ栽培に最適な温度
イチゴが育つのに最適な温度は10~25℃と言われています。
ビニールハウスを使わない一般的なイチゴは、気温などの関係から5月頃に1ヶ月間ほど収穫できます。
一方で、ビニールハウス内の温度は栽培者が自由に温度設定をすることができるため、
時期を選ばずにイチゴを栽培することができるというわけです。
つまり、ビニールハウス内をイチゴ栽培のための適温を保てば、11月から5月頃までの7ヶ月間ずっと収穫できるようになるというわけです。
クリスマスに真っ赤で美味しいイチゴのケーキが食べられるのは、ビニールハウスで大切に育てられていたからなんですね!
ビニールハウス内で水と液肥を「自動供給」
たくさんのイチゴを作るコツは、「水と液肥の回数と量のコントロールに尽きる」と言っても過言ではありません。
例えば、
- 仕事が忙しくて水やりができない
- 毎日決まった時間にハウスに行けない
こんな悩みを持つ方でも、水と液肥を自動供給することによって、イチゴのビニールハウス栽培が可能になってしまうんですね!
実際そこまでしなくてもイチゴが2、3個できて食べられる、ということは可能です。
しかし「水と液肥の自動化」することで、イチゴ農園と同じような美味しいイチゴが食べられるとなれば、「自動化はやる一択」ですよね!
ビニールハウスでイチゴを100個作るための手順とコツ
ビニールハウスでイチゴを100個作るための手順は以下のとおりです。
- プランターとビニールハウスを設置する
- イチゴがたくさん収穫できる土づくりをする
- 最適な水やりをする
- 手で受粉させる
- 成長に合わせたお手入れをする
1つずつ見ていきましょう。
①プランターとビニールハウスを設置する
プランターとビニールハウスの設置についてそれぞれ説明します。
◆プランターの設置
まずは苗を植える土台作りについてです。
イチゴを植える際はプランターを用意して、使わなくなったセルトレイを縦に半分に切ります。
それをプランターの底にぐるっと丸めて敷きます。
その上に、空の肥料袋を敷きます。
最後に肥料分のない培養土を肥料袋の上に乗せます。
◆気をつける点
- 土をプランターに入れる際、培養土は出来るだけプランターの縁スレスレまで入れること
- 苗の中心部(クラウン)の部分に土が入らないように植えること
ということを意識しながら行ってみて下さい。
イチゴを植えるためのプランターが完成したら、次はビニールハウスの設置です。
◆ビニールハウスの設置
まず、プランターをビニールで覆います。
先ほども紹介したような、家庭菜園用のビニールハウスを用意すると安心ですね。
ビニールハウスを購入するか迷っているという方は透明のゴミ袋でも代用可能ですよ♪
その場合は、中に空間ができるようにワイヤーでアーチを作って、飛んで行かないようにしっかり固定してください。
◆気をつける点
通気ができるように直径10mm程度の穴をいくつか開けておきましょう。
②イチゴがたくさん収穫できる土づくりをする
次はとても大切な土づくりについてです。
液肥を使ってイチゴを育てる場合は、土に肥料分がない培養土を使用することをおすすめしています。
その理由は以下の3つです。※今回は液肥を与えることを前提に説明しています
- 液肥のみで必要な栄養素を供給できるため
- 土に肥料分が多いと、液肥で栽培するときに過剰摂取してしまうため
- 肥料を過剰摂取すると、微生物の生育を促進してしまうため
液肥は植物に必要な栄養素をすぐに供給できるため、土壌中の肥料分が多いと、植物が必要な栄養素を過剰に吸収してしまいます。
過剰に吸収した結果、
- 過剰な養分によって甘みが落ちます
- 葉が茂りすぎるので花がつかず、収量の低下にもつながります
つまり、栄養成長(葉が茂る)だけで、生殖成長(実り)がないというわけです。
ただし、液肥を使用することで、このようなリスクを回避することができるので、さいこうやさいでは積極的に使用しています。
これがプランターに肥料分の少ない培養土を使用する理由です。
③最適な水やりをする
空洞果するイチゴを作らず、ジューシーで美味しいものにするためには、
水やりにもコツがあります。
- 適切な水の量
- 液肥との割合
のポイントは以下のとおりですので、しっかりとメモを取ってくださいね!
ココがポイント
1株に対して水50ccを1日5回あげる
5回の内訳:液肥1000倍を4回 液肥なしの水を1回
◆気をつける点
- 冷たい水をイチゴにかけると、イチゴの根が冷えてしまい、翌日には病気になってしまうことがあります。
水をやりすぎないということが根を冷やさないためのポイントです。
- 小さなビニールハウスで湿度が上がり過ぎてしまうと、水滴がビニールハウスに付着して、日光を遮ってしまう場合もあるため、
様子を見ながら午前中に水やりをすることをおすすめします。
- 病気予防のために、週1で銅剤をあげるようにしましょう。
※無農薬にこだわりたい人は、無農薬用の対処法もあります。
④手で受粉させる
春に屋外でイチゴを育てる場合は、ミツバチが受粉を手伝ってくれたり、風に流され受粉することが出来ますが、
ビニールハウスを使用している場合には、自分の手で受粉させる必要があります。
花が咲いたら人工受粉をさせてあげましょう。
⑤成長に合わせたお手入れをする
成長に合わせたお手入れも大切な作業です。
イチゴの葉っぱは、通常3枚出てくるのですが、
止め葉と言って、1枚だけ出てくる葉っぱがあります。
この止め葉が出ると花が咲く目安なので、
ぜひ覚えておきましょう。
次に、イチゴの花芽が出てきたら、その日だけいつもの倍の濃度で液肥をやるのがポイントです。
そうすることで花が元気になり、たくさんの実をつけてくれるんですよ。
次はランナーです。
せっかく花が出てきたものの、ランナーが長すぎて山ほど生えている場合には、
ランナーに栄養を取られてしまうので、適度にランナーを抜くことが必要です。
また、植えてから出てきたランナーの対処法として、
ランナーを切った後すぐに銅剤を作って散布します。
そうすることで切り口から発生する病気を防ぐことができます。
人間同様に、イチゴも成長速度がそれぞれ違います。
同じ品種でも1株で鉢を覆ってしまうものもあれば、成長の遅いものもあるものです。
目安としては、週に1回新葉が出てくれば順調と思って大丈夫です。
ビニールハウスでのイチゴ栽培で注意したいこと
美味しいイチゴを作るために注意しておきたいことを、以下の観点から説明します。
- イチゴの病気について
- 害虫駆除について
- 温度管理について
イチゴの病気について
イチゴ栽培で注意しなければいけないのが、イチゴの病気です。
病気になったイチゴをそのままにしていると、どんどん悪化し、実らない原因となります。
様子をよく観察し、適切な対処をしましょう。
例えば葉っぱに病気が出た場合は、
症状が出た部分を切ってすぐに銅剤をあげます。
素早く対処することで感染を防ぐことができます。
また、新しい葉っぱが生まれると、古い葉っぱが黄色く変色してくるようになります。
このように枯れた葉っぱが出てきた場合は、取り除くようにしましょう。
そのままにしておくと、病気や害虫を寄せ付ける要因になってしまいます。
ただし葉っぱを無くしすぎてしまうと光合成ができなくなってしまい、
イチゴの苗が枯れてしまう原因となってしまうので、葉っぱはできるだけ残すようにします。
害虫駆除について
ビニールハウスのイチゴに対する害虫駆除は、ダニとアブラムシだけでOKです。
暖かいビニールハウス内では、本来は冬に活動しない虫が出現するようになりますので、
葉っぱの裏などを確認しながらイチゴの安全を守っていきましょう。
温度管理について
ビニールハウス内の温度管理には特に気をつけていきましょう。
イチゴの生育適温はおおむね10~25℃とされています。
そのため、ビニールハウス内をこの範囲で温度管理することができれば、
11月から5月まで7か月もの間イチゴを収穫できるようになります。
イチゴは5℃以下になると休眠し、30℃以上となると成長が止まるため、
温度管理が大切になってくるのです。
ビニールハウス内はすぐに40度になってしまった場合の対処法を以下でお伝えします。
40℃の高温に注意
40℃になった場合、風通しをよくしておけば大丈夫です。(日中の最高気温が40℃でも風が通っていれば枯れません。高温になる場合はできるだけ上部の空間をあけて、2段目以降にプランターを置きます)
もしも40℃でビニールハウスを閉め切った場合には、イチゴが枯れてしまいます。
太陽が燦々と照っている日には、すぐに30℃ほどになることもあるので、
必要に応じてビニールハウスを開けて換気するようにしましょう。
一般的にイチゴの花が咲いてから、収穫までは積算温度が500℃・日とされており、1日のビニールハウス内の平均気温を15℃で管理すると500(℃・日)/15℃=33日という計算になり、イチゴの花が咲いてから収穫まで約1ヶ月程度となります。
※積算温度:毎日の平均気温を合計したもので、野菜・果物が成熟するまでの温度。
美味しくて、たくさん取れるいちご栽培をする
「プロ農家が実践」100個のいちごを家庭菜園で作る時に「ビニールハウスを使う理由」
ビニールハウスでのイチゴ作りには、メリットとデメリットがあります。
これらを事前に把握しておくことで、イチゴ作りがよりスムーズになりますので、ぜひ参考にしてみてください。
まずはメリットから見ていきましょう。
ビニールハウスでのイチゴ作りのメリット
ビニールハウスでイチゴを作るメリットは以下のとおりです。
- 冬でも暖かい癒しのスポットになる
- 他の野菜も一緒に育てられる
- 初期費用が約6,000円と安価
冬でも暖かい癒しのスポットになる
外が極寒であっても、ビニールハウスの中はポカポカと暖かいものです。
冬になると、僕はいつもホットミルクを持ってイチゴのビニールハウスで朝食を楽しんでいます。
自分だけの癒しのスポットになるのもメリットの1つですね!
他の野菜も一緒に育てられる
ビニールハウス内の温度管理をすることで、季節に関係なく、様々な野菜や果実を育てることができます。
これ、かなり嬉しいメリットですよね♪
家庭でいただくには十分な量が作れるので、ぜひイチゴ以外にも一緒に育ててみてください。
初期費用が約6,000円と安価
ビニールハウスを設置するには初期費用がかかりますが、約6,000円と比較的安価です。
自分の城を6,000円で持てるとなれば嬉しい出費になると思っています。
ビニールハウスでのイチゴ作りのデメリット
ビニールハウスでのイチゴ作りには、温度管理をこまめにしなければいけないというデメリットもあります。
ただし、慣れると難しくはありませんので、ぜひトライしてみてください。
小さなビニールハウスはこまめな温度管理が必要
ビニールハウスの大きさにもよりますが、小さければ小さいほど、ビニールハウス内の温度がすぐに上がってしまいます。
温度が上がりすぎると、イチゴの苗や葉、実が腐ってしまいますので、こまめな温度管理をするようにしましょう。
ビニールハウスでのイチゴ栽培は家庭菜園としてかなりおすすめ!
以上、ビニールハウスで100個のイチゴが作れる理由とその方法について説明してきました。
加えて以下のことを追記しましたので、ぜひ参考にしてみてください。
- ビニールハウスのメリットを最大限に引き出すために、「設置時期」や「大きさ」「換気措置」をしっかりと理解
- 栽培時期は11月中下旬~3月末4月上旬にするのが良い
- イチゴの生育適温を理解した上で、収穫できる時期を伸ばすためにも11月頃からビニールハウスを設置
- ビニールハウスは、イチゴのプランターに対してハウスの高さの十分余裕を持たせ、急な昇温を抑える
- 必要に応じてハウスを開いて換気し、中の空気を外に逃がすことで適温を保つようにする
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
皆さんのイチゴ栽培がうまくいくことを心より願っています!!