食品成分表初版(昭和25年)に比べ、
やさいの栄養価が下がっているとしても、
食品成分表4版にくらべ
最新の食品成分表が、
さらにやさいの栄養価が下がっていても
そこからやさいの栄養価を上げることは可能です。
やさいの栄養価をあげるのは、農家のシゴト。
望むのは私たち消費者。
そして、取引が生まれていけば、変わっていきます
野菜の栄養価が低下の諸説ある理由。結論は、下がっているかも。
野菜の栄養価が低下している理由は諸説あり、立場やみる視点によってどれも間違っていないように見えます。(真意の程はわかりません)
- 過去の食品成分表と現在の食品成分表を見比べると、栄養が下がっている
- 化学肥料と農薬(除草剤)を多用するから下がっている
- そのほか諸説
私には、正直どれも間違っていないように見えてしまうのですが、
今、現場の野菜作りの中で、「野菜の栄養価が下がっているから、栄養価を高めよう!」という声は正直あるんです。
- 野菜の栄養価が下がっているから、有機野菜を作り始めた人(私のこと)
- よりいい野菜を目指して、自然農法に取り組んだ人(私のこと)
- 農薬も、化学肥料も、動物性肥料も使わない「the・自然農法」に取り組んだ人(私のこと)
「自然農法が最強」と仮定して、たくさんの師匠方にお会いし、ノウハウを学ばせていただきました。
そして、学んだ中で、「野菜の栄養価が下がっていると仮定して、現状の野菜よりも栄養価を上げていくことが可能だということに気が付きました。」
野菜の栄養価が低下しているとして、改善策はある。
野菜の栄養価が低下しているとして、改善策はあります。
それは
- 現状の野菜よりも、野菜の栄養をあげることができる
- 現状の野菜と、今後の栽培する野菜の数値を測定し、改善することが可能
- 数値の低下、上昇の原因を探ることで、自然を科学的に評価できる
この3つのステップを使うことで、現代のすでにある環境を使って実現可能だということです。
野菜の栄養価の低下を【現状からあげる】
野菜の栄養価の低下を現状から上げることで、少しずつ、もしくは一気に改善していくことができます。
それこそ、漫画「美味しんぼ」で言われるように、1950年代の時のような「昔は野菜の栄養があった」というところまでの数値に行くのも、可能かもしれません。
美味しんぼから抜粋すると、
食品成分表初版(昭和25年)の26頁のホウレンソウは100g中150mgのビタミンCがあると表示されている。
とされているので、ホウレンソウのビタミンCを100g中150mgまで目指して栽培していくこともできるわけです。
野菜の栄養価低下を改善するために、栄養価を求めて栽培してくれる農家は限られている(余談)
上記の見出しのように、昭和25年の栄養価を目指して高栄養価の野菜を栽培していくにしても、実は現代の野菜の流通は、栄養価は評価の対象にはほぼなりません。
- 栄養価は、価格転換されていない
- 農家は、健康な野菜を育てることを目的の1つとしている
- 野菜の単価は低価格でなおかつ、病気がなく、荷造りしやすく、劣化しにくい流通先で販売しやすい野菜が求められている
カンタンに言ってみれば、工業製品のように流通できると、ロスがなく利益を出すことができるから上記のような内容を求めるのです。
流通や小売店が悪いと捉えがちですが、実はそうとも言い切れません。
私は農家ですが、
- 流通トラックを手配したり、
- 生産した野菜の販売価格の着値(ちゃくね:到着価格のこと。到着価格には、輸送費や、仲買の手数料も含まれるため、したがって農家の売価もここで決定される)も見て計算します
- 着値(ちゃくね)が合わなければ取引をお断りすることもあります。
農家も「商取引をベースに野菜を生産」しているので、採算にあう仕組みに乗るか、採算に合う仕組みを作れない限り、なかなか栄養のある野菜に資金を投入しよう!とならないわけです。採算が合わないからね。
そんな中、栄養のある野菜を採算の合う仕組みで提供するサービスが、ニンジンカレー 缶の販売です。
- ミシュランシェフによるレシピ
- 糖度の高いニンジンのみ使用したカレー
- 旬の味と栄養価を1年中食べることのできる缶詰
と言った、協力も得ながら、好評いただいています。
野菜の栄養価の低下の原因の一つ、「天候で栄養価が下がっている」を数値で見れる時代になった。
生姜の糖度とビタミンC
分析結果2019年 | 分析結果2020年 | 生姜の栄養価平均値*1 | 栄養価低下の割合 | 栄養価低下の原因 | |
Brix糖度(%) | 5,9 | 5,4 | 3,6 | 2019年と比較して2020年は糖度約9%低下↘︎↘︎ | 虫食いが酷く、前年よりも生姜の葉が少なく、光合成量が少なかった見込み |
ビタミンC(mg/100g) | 15,8 | 12,3 | 11,4 | 2019年と比較して2020年はビタミンC約23%低下↘︎↘︎ | 同上 |
(*1…生姜の栄養価平均値はデリカフーズグループにサンプルを提出し、検査依頼した分析結果から抜粋しています。)
上記の表のように、栄養価が低下した原因は虫による被害が原因で、葉が少なく光合成の量が足りないため、栄養素を生成できなかったと予測できます。
栄養素は2019年よりも減少していますが、サンプルの数値よりも栄養素は高く、「栄養価の高い良い生姜」が生産できています。
- 栽培方法や環境により、栄養価が変わる
- 虫食いにより、栄養素の合成量が変化する
といったことが測定することで、推測し、過程を作り検証していくことで栄養価の高い野菜を作ることができます。
野菜の栄養価の低下は化学肥料の多用?
化学肥料の多用をすることで、野菜の栄養価は低下する?という話題については、
ちょっと違うかもしれない。
農家の立場からお話しすれば、
- 化学肥料に頼りきりで野菜は作り続けることが難しい。
- 化学肥料に頼り切ることで、野菜の生産量は低下する
- 野菜が育つために「化学肥料の頭文字NPK」だけでなく、微量栄養素が必要
- ホームセンターでは今でも「化学肥料はNPKのみが中心」
- 農家の使う肥料は「NPKの他に、様々な微量栄養素を含んだ(コストをかけた)肥料」
- 肥料に含まれる様々な微量栄養素は、もとを辿れば有機肥料であることも実は多い。
上記のように、昔から言われている化学肥料のみではそもそも野菜の生産ができないという「経済的に生産農家として立ち行かない」からかなり工夫されて微量栄養素が含まれた肥料になって行っています。
野菜の栄養価の低下は、微生物が少ないから?
野菜の栄養価の低下の原因として、微生物が少ないから?と言われれば、
それは可能性として、あり得ると思います。
野菜を品質よく、生産するために、病気の発生を極力抑える必要があります。
そのために、農家の1つの手段として用意されているのが「土壌消毒」という方法です。
土壌消毒の目的
- 土壌消毒は野菜が壊滅的に作れない悪玉土壌菌を死滅させるため、土を減菌(げんきん:悪玉土壌菌などを減らすこと)します。
- ちゃんと被害を抑える効果があります。被害を抑えないと、野菜が作れない畑はたくさんあるのが現実です。
- 「無菌状態」を狙って使われる道具
今回の論点の問題点としては善玉菌をも減らしてしまい、「無菌状態」を狙って使われる道具だということです。
今回の野菜の栄養価低下に善玉菌の微生物が少ないからという場合であれば、その通りかもしれません。
*土壌消毒については善玉菌と悪玉菌を分けて死滅させる菌を選んでいるかどうかの確かなエビデンスを知らないため、ちょっと曖昧な表現で、明記はできません。
微生物が増えると野菜の栄養価の低下を補えるわけ
微生物(善玉菌)が増えると、野菜の栄養価の低下を補えるわけは、
微生物(善玉菌)の役割にあります。
- 微生物の死骸や代謝物は無機物で野菜の成長を補う栄養です。
- 特に微生物の多く、健康な畑にはクマムシ(貴重な有用微生物)が住むと言われています
- 微生物が増えるとより代謝物という栄養が増え、野菜は必要な量を供給されていく
さあ、野菜の栄養価の低下を補うための農家の仕事とは
「栄養価の高い野菜を作り続けるために」農家の仕事とは
- 経済を黒字化させ、必要な人材の人件費と経費を出すこと
- 野菜の栄養価を高めた野菜が流通する市場へ供給すること
- 売り上げが伸びることで注目され、栄養価を高めた野菜が評価される市場が伸びていくこと
こんな感じです。
実際のところ、栄養価を価格転換できる構造は野菜市場にはありません。
しかし、
- ゴボウ茶
- 黒ニンニク
- 万田酵素
などは、野菜の栄養価を価格転換した商品です。
野菜市場ではない別の市場へ売ることが、解決の糸口です。
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