今回は、こんなお悩みを解決した土づくりの記事です。
土づくりのコツが分かれば、初心者でも野菜を作れるようになります。
このページの通りに粘土質をふかふかにしたら、最後に「スコップ」を使って水没しない畑にかえると安定して野菜がつくれます。
この記事の内容
粘土質の土をふかふかに柔らかくする方法を、3つのポイントにまとめました。
3つすべてが出来なくても大丈夫ですが、
回り道もしてきた中で辿り着いたのが、実は スコップで水路をつくる がとても大事になってくるということ。
実際の写真とともにご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事を書いている人
・農大レベルでしっかり育てられる現役農家の解説動画
・栽培の流れが月単位でわかります。
・コメントで質問ができるので、今より上手になる(youtube)
- 農業経験0から14年以上やっている農家(愛知県の知多半島)
- 耕作する畑の土は9割が硬い粘土の土地で、雑草地からのスタート(農業初心者から、野菜を解説する側になりました)
- 年間100トンほど野菜を生産、出荷しています。
- このサイトの内容を実践し、反収50万を超える畑も出ています
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粘土質から、ふかふかの土へ改良
私も粘土質の硬い土から農業をはじめて、今では10年以上になりました。
【粘土質専門】この記事を読んで出来るようになること
今回は、
硬い粘土質の土でも、
野菜の育つふかふかの土を作る方法
を解説していきます。
- 粘土質の土を「有機質を混ぜる方法」でふかふかに柔らかくする方法
- 粘土質の土を「減らす方法」でふかふかに柔らかくする方法
- 粘土質の土を「砂を入れる方法」でふかふかに柔らかくする方法
この記事を読んで実行すると、野菜が思った通りに育つようになってきます。
なので
野菜が育つ土づくりができれば、初心者でも、野菜を作ることが可能です。
※根が張らない理由は後ほど
この記事は、硬い 「重粘土」と言われる農地で、野菜を栽培している農家が土づくりの現場を記事にしたものです。
そこで、今回の記事に書いているこの方法を毎年1回続けていくと、
- 柔らかな土になる
- 野菜が育つようになる
- 自然で、昔からの方法で確実に良くなっていく
そんな効果が得られました。
私は10年以上、粘土質の硬い土からはじめてキャベツ、白菜、ニンジンなどを出荷している農家です。
この記事でお伝えしたいのは・・・
こんなところで野菜なんか作れるかい!
みたいな粘土質の硬い土でも、
今では野菜が収穫出来るようになる!ということです。
もっと「理屈をしりたい」方向け
少し難しい理屈で言えば、三相分布の気相(きそう:空気の層)を増やす方法です。
様々な土壌分析や、一回1万円もする土壌診断を受けて、たくさんの方法を試した結果
- 10年続けて一番続けやすい
- そして効果のある (ここでいう効果とは、野菜がつくれること)
この記事の方法に落ち着きました。
家庭菜園で粘土質の硬い土に困っている方の助けになればいいなと思って書いています。
この記事を読んで、少しずつできることからやってみると、
- いい野菜ができるようになる
- 美味しい野菜ができるようになる
- 粘土質のふかふかの土を作ることができる
動画(1分)は、この方法で10年作った畑です。
*この動画では「堆肥を入れ続けている結果」の畑と「入れていない畑の結果」が比較できます。
(野菜は1年目からよくできるようになりますね)
実際の使い方は記事を読んでいってくださいね。
最短の1年目で、粘土質でいい野菜を作る方法
粘土質の畑を柔らかくするには
- p H(ペーハー:土の酸性度)を測定したり
- 高い資材を土に入れたり
という方法もありますが、
高い資材を入れなくても「粘土質の土を柔らかくする方法」はあります。
私は10年以上、専業農家として野菜を作っていますが、9割以上の畑は硬い粘土質です。
硬い粘土質の土を柔らかくするために、無料のものから、高い資材まで様々なものを使って試してきました。
硬い粘土質の土は、私にとっても大きな問題でした。 最初は全然野菜が作れませんでした。
ポイント
最短の1年で効果が出てくるのは、3つの有機質と+○○をつくることでした。
3つの有機質と、+○○をつくれば、野菜を作れる柔らかい粘土質の土が出来上がります。
粘土質の土を野菜ができるようにするには、【耕すタイミング】と、【有機質を混ぜる方法】があります。
耕すタイミングはこちら↓ 続きを見る
参考ゴロゴロ畑の土を細かく耕して、野菜の育つ土にかえる
ココがポイント
土の密度を減らすことで、粘土質の土は柔らかくなります。
粘土質の土が固いのは隙間がないからです。
粘土質の土を柔らかくする方法(隙間を作るために)
耕す
有機物を入れる(このあと紹介します)
水分を減らす(このあと紹介します)
という3つの作業を行います。
例えばこちらの写真は、草刈りした草を業者からもらって混ぜたものです。
表層2cm入れて、耕運もしたところです。
半年で粘土質の土が柔らかくなりました。
粘土質の土をふかふかに柔らかくする方法(有機質を混ぜる方法)
粘土質の土をふかふかに柔らかくするのは、有機質を混ぜることで出来ます。
そして、何を混ぜるにしても大切になってくるのが「隙間」です。
有機質を混ぜることで隙間が出来るので、
粘土質の土をふかふかに柔らかくするには、隙間が必要です。
続けなければいけないわけではありません。
期間は毎年続けていくことで、その度にふかふかになっていくイメージです。
毎年続けなければいけないこともないので、入れれる時に入れれば良くなっていく。
という感じに思うといいと思います。
実際に、農家4人に聞きました。粘土質の土をふかふかに柔らかくできましたか?
粘土質の土をふかふかに柔らかくするための農家の意見
堆肥で土が柔らかくなった | もみ殻で土が柔らかくなった | 落ち葉や草で土が柔らかくなった | |
農家4人の満足度 | 75% | 100% | 100% |
農家の感想 | 堆肥は微生物も増え、土づくりに役立つ。*未発酵の堆肥は不作になったので注意が必要です。 | もみ殻を散布すると土の隙間ができて柔らかくなる | 半年後、土が柔らかくなる。(草を分解するために土中の窒素を使うので、治るのが半年後) |
頻度はどの程度やる? | 年1回ほどやりたい | もみ殻が手に入る時にやりたい(年1回) | 3年に1回ほどやれれば充分 |
実際に「粘土質の固い土がふかふかになるまで」の流れはこんな感じです。
1作目
思ったように野菜ができなかった。(やっぱりできないか・・・と感じる)
2作目
大きくて、品質の良い野菜が作れるだけの土づくりをして、収穫する(土壌改良と肥料の力を使い、良い野菜が取れる)
3作目
良い野菜が継続して作れるようになってくる(2作目と同じ方法で、上手く収穫できる)
4作目
粘土質の固い土が、ふかふかになってくるのを実感する。(3作目より、良い土で作れることを実感してくる)
もちろん、慣れてくれば1作目から上手く作れるようになってきます。
ふかふかになるまでは3年くらいかかりますが、
野菜は1年目から良いものを収穫していくことができます。
粘土質の土を有機質を混ぜて柔らかくする有機質3種類
粘土質の土を混ぜて柔らかくする有機質3種類
- 籾殻(もみがら)を混ぜる
- 腐葉土を混ぜる
- 堆肥を混ぜる
団粒(だんりゅう)化とは...
土の粒子がくっついて、大小さまざまな団粒が出来ることです。微生物が活動するなかで出すのり状の物質が、粘土質の土と有機物をくっつけてくれます。
団粒化が進むことで、土づくりにおいて大切な「隙間」が出来て、土が柔らかくなります。
だから団粒化を進めることが大切なんです。
それでは、1つ目の籾殻(もみがら)から見ていきましょう。
【有機質その1】籾殻(もみがら)を混ぜて粘土質の土は柔らかくなる
籾殻(もみがら)は、分解しにくい有機質の1つ。
土の表面が隠れるほど入れても大丈夫です。
籾殻(もみがら)をいれて混ぜることで、粘土質の土のあいだに もみがら が入り、空気の隙間を作ってくれます。
そうすると、空気の隙間に野菜の根が伸びて、水分や酸素の調節ができるようになります。
この作用により、物理的に野菜の根の環境が良くなります。
【有機質その2】腐葉土を混ぜて粘土質の土は柔らかくなる
土を柔らかくする有機質、2つ目は「腐葉土」です。
腐葉土を混ぜて粘土質の土は柔らかくなります。
腐葉土はホームセンターで購入することができますが、正直言って費用対効果が低いです。
ごく少量では、土に隙間を作るほど入れることができないからです。
腐葉土を使うなら、プランターくらいの大きさならばコスパいいかなと思います。
または、近くに落葉樹のある山があると、タダで手に入りますね。
(地主に許可をもらうことが必要です)
腐葉土を安く手に入れる方法(地域の草刈り業者から手に入れる)
では、粘土質の土で困っている場合どうするかというと、近場にあれば地域の草刈りした草を集めている産廃業者から頂くのがコスパいい方法です。
産廃業者といっても、私のところでは建築業者が別事業で行なっていることもあります。
手に入れることができたら、畑に混ぜていきます。
細かく裁断してあることも多く、そのまま混ぜ込めると思います。
手に入れた草の使い方
耕運機で耕せる程度(表層2センチくらい)敷いて、混ぜ込んで行きます。
注意
分解するのに時間がかかり、分解中は野菜が育ちませんので、半年前に入れるか、敷き藁のように使って後で混ぜこむのもありです。
草の堆肥を入れてから半年後に作付けしたようすです。
7回は耕運しました。人参は無事発芽し、長いものが取れましたよ!
【有機質その3】堆肥を混ぜて粘土質の土は柔らかくなる
土を柔らかくする有機質、3つ目は「堆肥」です。
牛フン堆肥ですが、かなり粘土質の土は柔らかくなります。
牛フン堆肥をお礼肥(おれいごえ)で使う方法は、別記事で詳しく書いていますので、そちらを参考にしてください。
お礼肥(おれいごえ):野菜を作った後に、土にありがとうという意味を込めて堆肥を入れ、土を豊かにしていく工程
-
参考土を肥やす植物「雑草」を、畑作に利用する
続きを見る
特に根菜類は土の隙間が必要なので、砂地がベストです。
堆肥を混ぜた上で畝の高さを30cmにします。
畝(うね):畑の、土を盛りあげた所。
-
参考土を肥やす植物「雑草」を、畑作に利用する
続きを見る
粘土質の土をふかふかに柔らかくする方法(減らす方法)
こんな畑におすすめ
- 畑が雨が降ったら1週間以上入れなくなる粘土質の場合
畑から「減らす」2つの方法
- 土の密度を減らす
- 畑の水分を減らす
土の密度を減らして、粘土質の土は柔らかくなる
土の密度を減らすことで、粘土質の土は柔らかくなります。
粘土質の土が固いのは隙間がないからです。
ポイント
ふかふかの土 = 適度な隙間
粘土質の土を柔らかくする方法(隙間を作るために)
耕す
有機物を入れる
水分を減らす(このあと紹介します)
という3つの作業を行います。
ただ、自然農法・有機JAS・減農薬と野菜の作り方は多様化しているので、
混ぜる有機物は【もみ殻】【腐葉土】【堆肥】から自由に選び、
【畑の水分を減らす】を外さなければ、適度なスキマができます。
つまり、ふかふかの土 です!
具体的な作業は上記で解説してみたとおりです。
そのほかにも、
草をすき込んで表面を発酵させて、土を作っていくやり方でも、とても効果があります。
-
参考畑の雑草をすき込んだ「雑草堆肥」で健康的な野菜を作る方法
続きを見る
【重要】有機質を混ぜただけでは、野菜が全滅することも
注意ポイント
実はどれだけ有機質を混ぜても、土に酸素が行き渡らなければ
土は腐ってしまい、野菜が全滅する可能性もあります。
酸素を土に取り込み、「良い発酵」を促すことで、ふかふかの土になります。
畑の水分を減らして、粘土質の土は柔らかくなる
粘土質の土が固い原因は、隙間に水が多いことと、粘土質の土に隙間がないこと。
この2つです。
畑の水分が多い時は、水路を作って 排水 してあげることがとても大切になります。
あなたもそう思ったのではないでしょうか?
【キャベツ】【白菜】【ブロッコリー】は、これでもとてもよくできるんですよ!
(ただし根菜類は△)
はてな
米粒 と 小麦粉 に水を加えた状態をイメージすると分かりやすいです。
【米粒】... 粒が大きいので、水は隙間を抜けていく
【小麦粉】.... 粒が細かく、水は間に留まり固まる
この小麦粉の状態が、固い粘土質の土です。
畑の水分を減らすことで、粘土質の土は柔らかくなる土台になります。
土の隙間に伸びるひげ根から、野菜たちは【酸素】【栄養】【水分】を調節しています。
隙間がなければ、ひげ根も生えにくく、野菜も上手く育ちません。
だから、土の隙間が大切なのです!
最後に、3つ目の土を柔らかくする方法「砂を入れる」を見ていきましょう。
粘土質の土をふかふかに柔らかくする方法(砂を入れる方法)
砂を入れることで、固い粘土質の土は、かたさが和らぎます。
- 砂を入れることで、粘土同士の結着が緩くなるから
- 粘土同士の結びつきが緩くなることで、スコップなどの刃は入りやすくなる
という効果があります。
次の項目で解説していきます。
□粘土質の硬い土をふかふかの土にするために砂をどのくらい入れればいい?
結論、、、
- 砂を入れる量は、5cmくらい量増し(かさまし)するくらい入れます。
- 耕運する深さは、耕運機では10cm程度なので、感覚的には砂:粘土=1:1くらいになります。
◇砂の種類はどんなものがあるか?粘土土にどのような作用がある?
また、砂の種類もあります。
- 黒土(くろ土):火山培土で、有機物が多く、保水性、保肥力にすぐれる
- 川砂(かわすな):通気性、排水性に優れた砂。水はけが良い土を好む根菜類などに
土地柄にもよりますが、愛知県のホームセンターでは川砂が多く販売されています。
粘土質で困っている方は、黒土は近くに売っていないかもしれません。
愛知県のホームセンターでは見たことがないので、基本的には川砂を使います。
□粘土質の土に砂を入れることのデメリットも解説します。
砂の畑特有のデメリット
- 砂はとても乾燥しやすい(野菜に頻繁に水を与える必要も出る)
- 砂は肥料もちが悪く、今までよりも2倍肥料が必要になる(すぐに肥料切れしやすくなる)
- 粘土よりもミネラル分が少なく、味が落ちることもある
という感じで、かなり環境が変わり、野菜を作る感覚も変わります。
注意ポイント
砂を入れれば土が柔らかくなり、野菜ができると思いがちですが、
実は特別に野菜が作りやすい土にはなりません。
ではどうなるのかというと
- 粘土質での野菜の作り方から、
- 砂混じりの粘土土で作る野菜の作り方
つまり、土質は変わるのですが、
- 水はけが悪いとか
- 日陰で野菜が作りにくい
という環境は変わっていないということです。
今までの硬い粘土質とは違い、砂を混ぜることで、変化を感じると思います。
特に
- ニンジンが真っ直ぐできるようになった
- ゴボウが長くできるようになった
- 雨が多くてなかなか植え付けしにくかった野菜植えやすい
などという、いい点もたくさんあります。
この記事のまとめ
硬い粘土質の土を、ふかふかの土にする方法は....
耕す
有機物を入れる(=3つの有機質)
水分を減らす(=水路をつくる)
この作業を行うことで、土に隙間ができて「ふかふかの土」になります。
ぜひ出来るところからチャレンジしてみてくださいね!
やさい作りのすべての根っこ!「土づくり」
粘土質で作れる野菜は
楽に作れる:キャベツ、白菜、ブロッコリー、葉物
中 級 :かぼちゃ、ミニトマト、レタス
上 級 :ニンジン、大根、短根ゴボウ
2021肥料値上げ💦対抗手段は【コスト削減】堆肥を入れると肥料が減る実例
【1分で読める】粘土質の畑の三相分布(固相、液相、気相)の知識
この土づくりを使い、野菜が上手に家庭菜園でできるように解説したのが、「キャベツの作り方完全ガイド」です。
- 11月〜6月「春キャベツの栽培期間(種まきから、収穫までの期間)」
- 7月〜4月「秋冬キャベツの栽培期間(種まきから、収穫までの期間)」
上記の期間に、キャベツの作り方完全ガイドを見ておくだけで、成功率がグッと上がるように書いています。
- キャベツ栽培の全体の流れが見える
- もっと詳しくみたい時は、1つ1つの記事を細かく見ることができる
そんなキャベツ栽培ガイドに仕上がっています。
たった1ヶ月の期間で苗を植えるだけで、
家庭菜園での収穫が半年楽しめるゴールデンタイムの植え付け時期は8月です。
- コスパ最高「さいこうやさい の植え付けプラン」
- 苗を植える期間は1ヶ月だけ
- 収穫は半年間、たくさん野菜が食べられる
という内容になっています。
8月の植え付けをメインに、畑の作物のローテーションを考えてみると、とても有効に畑を使えます。
1株から100本以上収穫した、ナスの1番花の時期に3倍に増やす方法も人気の記事です。ナスを植えて、1番花を捨ててしまう前に読んでみてください。